Teddy Bear Voice Vol.108

特定非営利活動法人 日本テディベア協会発行
 テディベア・マガジン

映画 = アタマ < 体力

『太陽にほえろ!』や『あぶない刑事』シリーズなどの刑事アクションものから、『ルパン三世』『名探偵コナン』等のアニメまで、テレビや映画の世界で数多くの人気作品の脚本を手がけてきた。
2016年は、大人気シリーズでもある『あぶない刑事』の最終作 『さらばあぶない刑事』の脚本を手がけ、本作は興行収入15億円の大ヒットに!
そして脚本(ホン)を書くことだけに留まらず、みずから監督としてメガホンをとる映画人。映画監督としても『キリマンジャロは遠く』が公開されます。
今回はそんなちょっと危険な?シナリオライター柏原寛司氏にちょっと刺激的でアブナイ話を伺う機会を戴けました。


イノウエカンナと柏原氏写真

Q. 脚本家になった経緯、きっかけ等、教えてください。

A. 本当は監督になりたかったんですよ。監督をやりたいと思っていて、当時黒澤明(監督)の本だったか雑誌に『監督になるには脚本を書けなきゃいけない』っていうのをよんでね、それでシナリオ作家協会主催のシナリオ研究所というところに入所してシナリオをかくことを始めました。そこからしばらくは現場に行く手段をさぐっていたんだけど、そのまま自然とライターになってね。

Q. 何歳ぐらいのことですか?

A. シナリオ研究所は半年間だけなので、その後しばらくして新井一先生という人がシナリオセンターをつくるというのでそっちへ行って、そこで東宝のプロデューサーから子供番組の脚本を書けるやついないか?という話があったので手を挙げて『クレクレタコラ』っていう番組の脚『本を書いてそのままずっとライターになりました。それが23才24才の頃かな。
とにかく監督になりたかったんで。当時監督になるにはいわゆる助監督試験を受けなくてはならなくて、それを受けるには大卒じゃないといけなく、浪人していてる間にシナリオの学校に行って、大学を受けなおして。三浪した形で大学行ってたの。だからそのころ大学生だったんですよ。

Q. 映画監督は子供のころからの夢だったんですか?

A. 夢というか…そんなはっきりした夢じゃないんだけど。小学校のころは落語家になろうと思っていたからね。この近所(人形町)には映画館が7つあったんで、映画とか見まくっていたんです、みんなで。だから自然に映画のほうへいっちゃった感じかな。

Q. これまでに沢山の脚本を書いてこられたうえで、これから書いてみたい脚本はありますか?

A. これからはね、あまり脚本家やる気がなくて、監督業を多くしようとしているのであまり書く気はないです。もう他人に脚本を書いてもらう。というのも、基本 監督が全部自分でやってしまうと世界が狭くなるから、他人の良いところをいただくというのが映画監督の仕事。黒澤明がすごいのは優秀なライターを4人集めて、みんなに書かせて自分の手柄にするという、それが一番いいんで。市川崑もそうだよ。黒澤さんは自分もその中に入ってやるんだけど、俺は入ったり入らなかったりで。そういう形でやったほうがね良いね。一人で書くとねどうしてもそれは視野が狭くなるから。

Q. 映画監督 柏原寛司として、いちばん大切にしているものは?

A. 役者をいかに魅力的に撮るか。キャスティングを自分でやるときもあるし、ある程度決められているときもあるし。脚本でも監督でも同じことで、役者を魅力的にするということがその作品、その映画を面白くするための第一歩。

Q.『映画をつくること』とは

A. 映画を作るっていうのはいろいろあって一概には言えないんだけどね。需要と供給のバランスで。オファーがあって、たとえば『あぶない刑事』の場合だともう全ての設定が決まっている中で、主役の二人が次どんなアブナイことをしようかってところから始まるわけですよ。原作があるものはその原作をどう面白くしようかって考えるわけで。原作がなくてオリジナルの場合は自分がやりたいものをどうやろうかと。それはアイデアのときもあるしキャラクターのときもあるし。頼まれてもオリジナルってこともあるので、だからそれは微妙なところで、ケースバイケースでみんな形がちがうと思うんだね。

Q. 特に大変な作業はどういうところでしょう?

A. 映画作りは全部大変。最初から終わりまで。監督というのは一日にものすごい数の決断をしなければいけなくて。決断がおくれると諸々のことが滞るから、ものすごい数の決断をしていくというのが監督の仕事なんです。

Q. 才能が必要ですね。

A. 才能というか、運動部系に向いてる世界。勉強できる人系はちょっとやばい時がありますね。悩んじゃったりとかノイローゼになったりだとか。運動部系はぜんぜん平気だから。「大丈夫、大丈夫!! いっちゃえよ!!」みたいな。(笑)ちょっと危ないことを平気でやれる人のほうが向いてるね。俺もたまにやるんだけど、俗に言うピンク映画はロケする場所もそういう映画だと貸してくれないわけ。そのときは違う台本を見せて、「この撮影をやるから貸してくれ!」って言って実は違う映画でしたっていうこともするわけよ。やり逃げっていうかね。警察の許可を取らずに撮ってしまうとかね。(笑)

Q. もうそれ、事件扱いですよね。

A. そんなのしょっちゅう。そういうの平気じゃないと映画屋さんは務まらないというか。(笑)

実際に問題になったりしませんか?

問題になるけど、全然平気なんだよ。大きな映画配給会社は問題になるのが嫌なのでやらない。やってしまうと次に何かやろうとしたときに警察が許可出さないわけ。石原プロはそういうところは強いんで、やっちゃうわけ。ビル壊すわ、煙突倒すわ、全然平気なんで。(笑)今、いくつ?

39です。

そっか、じゃあ西部警察のオンエアは観ていないかな。むかしのテレビドラマや映画はそういうこと平気でやっていたんだけど。さいきんはみんなやらなくなったね。もう、爆破する場所もないんでね。許可が出ないんで。だから映画はなかなかね。オリジナルビデオはまだやってるけど。(笑)

これオフレコですね。

オフレコじゃないよ。やばいシーンを撮るときは助監督に、もし警察が来たらおまえが監督だと言っておまえが捕まれって言うわけだよ。捕まってる間に俺が撮るからってことでね。(笑)ただこれはすごくお金のない映画の話だからね、自分たちでローコストでやってる。東宝とか東映とか大きな会社はちゃんと段取り踏んで警察にも許可を取ってるからね。でもそれが面白いんだよ!ムチャなことをやるのが面白さで、いかにダメなところなんかをごまかして、色んなことをするかっていうのが楽しい。(笑)

イノウエカンナと柏原氏写真

Q. 審査をされるときに大事にしていたことはありますか?

A. 東京国際映画祭以外にもいろいろ審査員をやっているけれど、新人がいかに他の人とは違う新しい面を持っているかというところを重視しています。そうでないと新人を選ぶ意味がないので。上手くできているよりも、上手くできていなくても新しさがあるほうがいい。上手くできるというのはね、プロはみんな上手く作るのが当たり前なわけで、そうじゃない新人の良さって言うのはプロにはない面白さを持っている人だから。つまり作家性があるかないかで、作家性がないとみんなとおなじになるわけです。誰が撮っても一緒。この人に撮らせるっていう意味がないといけない。例えば小説を読んでもみても、司馬遼太郎と筒井康隆とは違うじゃないですか。だから彼らはそれなりに評価されて有名になっているわけで、抜きに出る人というのは人とは違うことをやっている人で、それはその作家性なので、その作家性があるかどうかは評価するうえで大事なポイントですね。なんでも一緒ですよ。どの世界でも。新人が出てくるということは今までの人たちとは違うことをやってるということ。同じだとだめなので。役者もそう。

Q. 前回の[テディーベア ラブズ パーソン のゲスト] メディコム・トイ社の社長 赤司竜彦さんから柏原さんへの質問をいただきました『未だかけていない、または死ぬまでにかきたい脚本がありましたら是非、さわりだけでもおしえていただきたいです。』

A. プロは注文があってナンボですから、映像化の可能性がない脚本を書く気は自分にはありませんね。いつかプロをやめてアマチュアになったときには、もしかしたらまた脚本を書きたくなるかも知れませんが…

テディベアを作っている、またはプロとして活動している作家さんにむけて、ひと言戴けると嬉しいです。

アドバイスというと上から目線になるし、知らない人たちへのアドバイスというのはしたくないので、柏原寛司という人間にインタビューしたらこういうこと言ってたというのは載せてくれて全然OKですよ。

柏原さんの様なものづくりへの姿勢はなかなか…(笑)

映画のプロはね、みんなこうですよ。みなさんが知ってる某監督なんて俺よりもっとひどいからね。(笑)スタッフ寝ないんだから!何日間も。寝かせないんだから。何日も寝ないで撮ったりとか平気でやるわけで。

平気でですか?

映画監督は、頭じゃなくて体力!!

9つ子の赤ちゃんこぐまの物語

「人形町三日月座」のご紹介

人形町の試写室併設カフェ「三日月座」話題に -インディーズ作品上映会も

水天宮交差点近くにあるカフェ「coffee & pictures 人形町三日月座」
(中央区日本橋人形町1、TEL 03-3667-0423)が地元で話題を呼んでいる。
同じビルの2階にカフェ、地下1階に試写室「Base KOM」を運営する同店。
アニメ「ルパン三世」や「名探偵コナン」ドラマ「あぶない刑事」などの脚本を手がけた柏原寛司さんと、妻で元演劇プロデューサーの久美子さんが2009年9月にオープンした。

カフェスペースの面積は20坪で、席数は18席。築47年のビルをリノベーションし、レトロな雰囲気のインテリアを置く。壁には久美子さんが撮影した写真やアート作品が並ぶ落ち着いた空間。1人や2人連れの女性客が多いという。
コーヒーはサイフォンでいれる。中いりの「アラモブレンド」、深いりの「ヒルツブレンド」、オリジナルの「三日月ブレンド」の3種類を提供。ランチには日替わりのおかず数品が付くプレート(900円)、18時以降はアルコールとおつまみをそろえ、久美子さんの出身地である長崎名物の「トルコライス」(1,500円、1日5食)や「皿うどん」(1,300円)も提供する。

試写室の席数は25席。地下への階段脇には、寛司さんが趣味で集めた多くの映画ポスターを飾る。35ミリフィルムからデジタル作品まで上映できる映写装置と幅3メートル60センチ、高さ1メートル50センチのスクリーン、通常の映画館と同等の音響設備を装備。同店主催のインディーズ映画上映会や映画鑑賞イベントに利用するほか、レンタルスペースとしても貸し出す。レンタル料は1時間=1万円(2時間単位、映写技師料金は別途)。

「人形町には昔、映画館が7軒もあった。喫茶店もたくさんあり、いろいろな人が集まって文化の発信基地になっていた」と寛司さん。試写室での映画上映会のほか、カフェ店内を利用した写真や絵画の展示、ワインセミナーやパーティーなどのイベントを不定期に開くことで、アート発信の場作りに取り組む。「アマチュアで頑張っている人に一番パワーを感じる。そんな人たちを応援したいと、この店を始めた」と久美子さん。「いつか人形町映画祭を開催したい」と夢を描く。


- 日本橋経済新聞より -